SNSを使った情報発信は、業種や規模を問わず、多くの企業や店舗で行われるようになりました。
その一方で、SNSを
- 「集客の入口として使っているのか」
- 「来店や問い合わせまでを想定しているのか」
については、あまり立ち止まって考える機会がないまま、続けているケースもあるように感じます。
この記事では、SNSで情報発信を続けている中で、実際によく行われていることと、その結果として起きていることを整理しながら、「期待していた成果との間に、なぜズレが生まれやすいのか」について考えてみます。
フォロワーが増えると、売上につながりそうに感じませんか
InstagramなどのSNSを使った情報発信が当たり前になり、「まずはフォロワーを増やそう」と考える方も増えています。
フォロワーが増えれば、投稿がより多くの人の目に触れるようになり、商品やサービスの存在を知ってもらえる機会も増えます。
実際に、フォロワーの増加がきっかけとなって、来店や購入につながるケースがあるのも事実です。
一方で、すべての業種・すべての商売に、同じ考え方が当てはまるわけではないとも感じています。
通販と来店型ビジネスでは、SNSの効き方が違う
ここでは分かりやすい例として、次の2つを比べてみます。
- どこに住んでいても購入できる通販の商品
- 来店してもらうことで売上になる飲食店や地域密着型の店舗
この2つは、同じSNSを使っていても、成果につながるまでの考え方やプロセスが異なります。
通販の場合は、フォロワーが増えることで情報が届く範囲が広がり、そのまま購入につながるケースもあります。距離や来店のハードルがないため、フォロワー数が購入の母数になりやすい側面があります。
一方、来店型のビジネスでは、商品やサービスを知ってもらうだけでなく、
- 行ける距離にいるか
- わざわざ行く理由があるか
といった要素が、より大きく影響します。
Instagramは「検索されるSNS」なのか?
Instagramは、何かをじっくり調べるためのツールというより、投稿を眺める中で、気になるものに出会うために使われることが多いSNSです。
投稿を見て興味を持ったあとに、地域名やジャンル名で検索し、関連するアカウントをのぞいてみる、といった使われ方もあります。
ただし、その場合でも、Google検索のように何かを正確に調べるというより、
- なんとなく気になる
- 好みが似ている
といった感覚で見ることが多いように感じます。
つまり、Instagramは「調べる場所」というより、「気になるものに出会う場所」として使われることが多いSNSだと感じます。
多くの時間は「おすすめ」を眺めている
多くのユーザーは、Instagramを開いたときに、何かを探すというよりも、最初に表示される「おすすめ」の投稿を眺めている時間が長いように感じます。
投稿を一つひとつ詳しく見るというより、画面をスクロールしながら、
- 気になるものがあれば少し立ち止まり
- そうでなければ流していく
という使い方です。
その中で、
- 美味しそう
- 行ってみたい
- なんとなく好き
といった、かなり感覚的な判断で、投稿を見たり、スルーしたりしています。
つまり、Instagramでは、目的を持って探す時間よりも、おすすめを眺める中で「なんとなく気になるもの」が次々に現れては流れていく。そんな時間の使われ方が多いように感じます。
Instagramのおすすめは「今いる場所」とは限らない
おすすめを眺めている時は、自分で地域や条件を指定して見ているわけではありません。
そのため、おすすめに表示される投稿は、「今いる場所」を基準にした近隣の情報だけが流れてくるわけでもありません。
Instagramのおすすめに流れる情報は、地域性の影響も多少はありますが、Google検索のように「今いる場所」が強く反映される仕組みとは異なります。
そのため、おすすめには、自分の近くの場所の情報というより、
- これまでに見た投稿
- よく反応しているジャンル
に近い内容が表示されることが多くなります。
こうした仕組みが背景にあるため、来店型ビジネスの立場から見ると、
- いいねが増えた
- フォロワーが増えた
といった反応が見られても、
それが必ずしも来店につながるとは限らないという状況が起きることもあります。
実際に投稿が届いている人を整理してみる
Instagramのおすすめは、「今いる場所」よりも、これまでの行動や興味に近い内容が表示されやすい傾向があります。
こうした仕組みの中で、投稿は次のような人たちに表示されていることが多いようです。
- そのお店などをフォローしている人
- 似たようなジャンルをよく見ている人
- 実際に来店した人や、そのフォロワー・知人
- フォローはしていないが、何度も似た投稿を見ている人
- お店を調べたあとに、Instagramで雰囲気を確認している人
この中には、フォローしている人や、何度も投稿を見ている人もいますが、必ずしも「近くにいる人」や「すぐ来られる人」ばかりではありません。
「見られている」ことと「行動する」ことの違い
SNSは、興味を持ってもらう入口としてとても優秀です。
一方で、表示されることと実際に行動してもらうことの間には、少し距離があると感じる場面もあります。
そう考えると、次の行動につなげるために、SNSとは役割の異なる、情報を整理して伝えられる場所をあらかじめ用意しておく、という考え方もあります。
居酒屋や飲食店などの場合、食べログといった予約・検索サービスを思い浮かべる方も多いと思います。
これらは、すでに「行くことを検討している人」にとっては、とても重要な情報源です。
一方で、こうした検索サービスを集客の主軸にするかどうかは、お店の考え方によって異なります。
お店の雰囲気や考え方、素材選びや日々の工夫など、どんな思いで提供しているのかを、もう少し丁寧に伝えたいと考えるお店もあります。
その場合、SNSや検索サービスとは別に、自分たちの言葉で情報を整理し、伝えられる場所を用意しておくという選択肢もあります。
「行動」を決める動機とは?
来店や問い合わせを決めるとき、場所や価格を基準にしている人も多いと思います。
しかし、場所や価格だけが決め手ではない人ほど、
- 他とは何が違うのか
- どんな雰囲気のお店なのか
- どんな思いで作っているのか
といった点が、判断の中で優先されることも少なくありません。
そこに行くことで、それを味わうことで、「このお店を選ぶ意味」が感じられるかどうか。
そこをうまく伝えられているかどうかが、業種を問わず、行動の動機になっていることが多い印象を受けます。
まとめ
Instagramは、興味を持ってもらう入口として、とても強いツールです。
ただし、来店型ビジネスでは、「見られること」と「選ばれて、来てもらうこと」は必ずしも同じではありません。SNSで興味を持った人が、その先で「このお店を選ぶ意味」を感じられるかどうか。
その判断材料を、きちんと整理して伝えられる場所を用意しておくことが、せっかくの情報発信が、次の行動につながりやすくなるように感じます。